3か月の熟慮期間は、いつからになるのですか?@
民法882条では、
「相続は、死亡によって開始する」
と規定しています。
このため、悪質な業者の中には、被相続人が借金をしている事実について、
その死後すぐには相続人に知らせないで、
3か月が過ぎた後で
「熟慮期間が経過したので、もう相続放棄はできませんよ」
と言って、相続人に支払いを強要するケースがあるようです。
3か月の熟慮期間は、いつからになるのですか?A
しかしながら、これは誤りです。
なぜなら、この3か月というのは、
あくまでも相続人が相続の開始を知ったときからの期間であって、
親が亡くなった日からではないからです。
ちなみに、貸金返還請求の裁判においては、
熟慮期間は被相続人に
借金を知ったときから始まるという判例もあります。
つまり、親の死後3か月経過して債権者が現れた場合でも、
親が借金をしている事実を知ってから、
改めて相続放棄をすることも可能なケースがあるということです。
熟慮期間とは?
相続人は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、
以下のうちのどれか1つを選ぶ必要があります。
■単純承認
■相続放棄
■限定承認
どれを選ぶのかについては相続人の自由ですが、
相続開始を知ってから3か月を経過してしまうと、
単純承認をしたことになりますので、
結果として限定承認も相続放棄も
できなくなりますので注意が必要です。
なお、熟慮期間というのは、この3か月の期間のことをいいます。